根も甲斐も干からびた砂漠の皮質
あかぎれでひび割れた甲の地平
枯れた腺から浸み出るなけなしの汚水
埋め立てられたCPUの化石から 赤黒い発光ダイオードが滲む
壊れかけのトランジスタラジオから幽かに聞こえる
南無阿弥陀仏の幻聴アワー
本体バッテリーの寿命が切れる寸前
脳内ディスプレイで走馬灯.FLVがフラッシュバックひろ子
「ハカセ…オゲンキダロウカ」
明度が高い幼少期の想い出に思わずピントを絞る
結露した光検知センサーに映った下弦の月
徐々にオンからオフに移ろいで行く自己制御システム
三途の川を渡る水音 弔いの鈴の音
彼岸の短波から発信される 第3世代桂HAL團治の「JYUGEMU」 3chのクロスフェード
「サワサワ…」「シャーン シャーン…」「ジュゲム ジュゲム ゴコウノスリキレ…」
側頭のコンデンサマイクが拾う 虚実が溶けたノイズの子守唄に抱かれながら
ゆっくりと液晶の瞼を閉じ シャットダウン 5963 ZK-1